ヘラクレスオオカブトの飼育は難しい?成虫の飼育方法や必要な飼育セット、基礎知識を徹底解説

世界最大のカブトムシとして有名なヘラクレスオオカブト。誰もが子どもの頃に一度は飼うのを憧れたことがあるのではないでしょうか。10年前や20年前と比べて比較的ヘラクレスオオカブトが入手しやすくなった昨今、ヘラクレスオオカブトの飼育について知りたい人も多いのではないかと思います。
この記事では、これからヘラクレスを飼ってみたいという方に向けて、必要な飼育セットやかかる費用、重要なポイントについて解説しています。
ヘラクレスオオカブトの成虫飼育に必要なものと値段
ヘラクレスオオカブトの飼育には、他の昆虫同様飼育ケースなどの道具が必要です。これから、必要な飼育セットとかかる費用について紹介します。結論からお伝えすると、ヘラクレスオオカブトの飼育をするには、
- 最初に購入が必要な飼育セット:1000円〜5000円
- 継続的に購入が必要なアイテム:月に3000円〜4000円
- 必須ではないがあると便利なアイテム:3000円(〜30万円)
ほどの費用がかかってきます。生体自体の値段の相場については以下の記事も参考してみてください。

具体的に必要な飼育セットを見ていきましょう。
最初に購入が必要な飼育セット
飼育ケース:500円〜3000円程度
飼育ケースは成虫サイズに合わせて選ぶ必要があります。あまりにも小さすぎるとストレスを感じて寿命が短くなってしまう原因にもなります。目安としては、体長の2〜3倍以上のサイズのケースを選ぶといいでしょう。大きければ大きいほどストレスなく生活できる環境を作れます。
- オスの飼育ケースサイズの目安:奥行き20cm×幅30cm×高さ10~15cm程度
- メスの飼育ケースサイズの目安:奥行き10cm×幅20cm×高さ10cm程度
上記は、平均的なヘラクレスオオカブトのサイズ(オス:120mm〜140mm、メス:65mm前後)を想定したサイズで、それよりも大きなサイズの個体を飼育する場合は、より大きなケースが必要です。
コバエ侵入防止シャッターがついた飼育ケースを準備するとコバエの悩みがだいぶ軽減されます。
おすすめはクリアスライダーのラージサイズです。コバエ侵入防止シャッターがついているほか、蓋がスライド式になっていることで脱走の心配がないため、ヘラクレスオオカブトの飼育に適しています。

温度計:100円〜2000円程度
ヘラクレスオオカブトは、通常の日本の温度環境では生きていくことができないため、温度計を利用して適切な飼育温度である20℃〜25℃の間に保ちましょう。Amazon公式のSwitchBotと互換性のある温度計などスマホと連動しているものであれば、急な気温変化があった際にスマホにアラート通知を送ることができるため、適切な温度管理がしやすくなります。

転倒防止材:100円〜200円程度
飼育ケース内には転倒防止材として、流木をいれるか人工芝生マットを敷いてください。設置しないとヘラクレスオオカブトがひっくり返ってしまったときに、自分で起き上がれずに体力を不必要に消耗したり、最悪の場合、衰弱死したりする可能性があります。
人口芝生マットはダイソーなどの100円ショップで購入可能です(参考:ジョイント人工芝 Y 約30x30cm)。

霧吹き:100円〜200円程度
ヘラクレスオオカブトは熱帯雨林地域が原産のため、湿度を保つ必要があります。目安としては、毎日〜数日に1回ほど、ケースの中の水滴がなくなったタイミングで霧吹きを使いましょう。冬場の乾燥しやすい時期にはこまめに使うよう心がけましょう。
継続的に購入が必要なアイテム
エサ(昆虫ゼリー・バナナなどの果物):1日100円程度
ヘラクレスオオカブトが食べる餌は、バナナなどの果物か昆虫ゼリーです。果物はバナナが基本ですが、リンゴも食べます。ただし、スイカのように水分を多く含む果物や野菜は、体調を崩すリスクがあるため避けるべきです。
ゼリーに関しては、KBファームのプロゼリーが高栄養価でコストパフォーマンスに優れており、当社も含めた多くの昆虫ショップやブリーダーの間でも愛用されています。

マット・とこ材:月に数百円程度
ケース内には、とこ材(マット)として、おがくずやバークチップや水苔等を入れてください。バークチップは園芸や観葉植物にも用いられるため、観賞用としてもおすすめです。
床材は定期的に清掃や交換を行いましょう。清掃のタイミングは、ゼリーのゴミが溜まってきたときや、ケース内の湿気が溜まりすぎて環境が悪くなったときです。

必須ではないがあると便利なアイテム
スマホと連動したエアコン:10万円〜30万円程度
飼育温度管理の効率を上げるために、スマホと連動したエアコンがあると便利です。外出等で家にいないときには、上述のスマホと連動した温度計を用いて室温を確認しながら、スマホでエアコンの温度を操作することができます。ただし、スマホと連動したエアコンは10万円以上の価格帯ものが多く、設定も煩雑です。また、賃貸の場合は設置が難しいケースもあるため、数匹程度の飼育であれば、通常のエアコンのある部屋での飼育や、特に冬場が寒い地域の場合は後述の爬虫類用ヒーターを活用するのがいいでしょう。
爬虫類用ヒーター:2000円〜4000円程度
冬場は最もヘラクレスオオカブトが死にやすいため、温度を保つために爬虫類用ヒーターがおすすめです。段ボールやビニールシートなどで冷気が入らないような仕切りを作り、爬虫類用ヒーターを敷き詰めて温度が20℃〜25℃になるように保ちましょう。
コバエ侵入防止シール:500円程度
コバエ侵入防止シャッターのない飼育ケースを使う場合は、飼育ケースのフタや側面に空気穴をあけます。その上からコバエ侵入防止シールを貼れば、空気を通しつつコバエの侵入を防ぐことができます。
参考:https://www.mushikichi.com/SHOP/f-sh-10.html
その他、楽天やAmazonでも類似のものが購入可能です。

餌皿
ゼリーを置く際に、そのまま置く代わりに餌皿を使用することで、マットが汚れにくくなるなどのメリットがあります。観賞にこだわる場合にはあるといいでしょう。
セリアやキャンドゥなどの100円ショップでも購入が可能です。

ヘラクレスオオカブトの成虫飼育で押さえるべき重要なポイント
温度管理に細心の注意を払う
ヘラクレスオオカブトの飼育に最適な温度は、20℃〜25℃です。常態的にこの温度を下回ったり上回ったりすると、弱ってしまったり寿命が短くなってしまったりします。
上述の温度計などのアイテムを活用しながら、特に冬場は19℃を下回らず、夏は30℃を超えないようにしましょう。

同じケースで複数匹の飼育は行わない
複数飼育する場合は、えさの取り合いで喧嘩になり、体に傷がついたり、足(ふせつ)がかけてしまったりします。1匹ずつケースを用意しましょう。これはオス同士、メス同士だけでなく、オスとメスの場合も同様です。
オスとメスで交尾(ペアリング)をさせたいときは、その間だけ同じケースにいれてペアリングを終えるまで目を離さないようにしましょう。
後食開始前には餌を与えない
後食(こうしょく)とは、餌を食べ始めることを言います。ヘラクレスオオカブトは、蛹から成虫に羽化してから餌を食べ始めるのに1ヶ月半〜2ヶ月半程度ほどかかります。その間は、内臓などの消化器官ができていないため、無理にえさを食べさせると弱ってしまったり、寿命が縮む原因となります。
成虫がケースの中を動き回り暴れ出したら、後食開始の合図です。後食前の未後食(みこうしょく)の成虫を購入した場合は、ケースの中にティッシュを入れておくと、後食開始のタイミングを把握しやすいです。
よくある質問
以下では、ヘラクレスオオカブトの成虫を飼育する上でよくある質問を記載してあります。